PFAとは?
PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体で熱可塑性樹脂です。 PTFEに匹敵する特性を持ち、切削加工しかできないPTFEと異なり、複雑な形状でも溶融成形ができるのが最大の 特長です。 PFAはPTFEの加工性を改良するために開発され、-200℃から260℃までの幅広い温度で安定した機械強度を保つことができます。強酸、強アルカリや有機溶剤に対しても強い抵抗性を示し、ほとんどの薬品に対して侵されることがないので、耐薬品性にも優れており、化学薬品に接触する半導体分野に最適です。 その他、電気絶縁性や非粘着性、耐候性にも優れています。
PFAの分子構造
融点:約280~320℃
粘度:104~105 ポイズ(380℃)
最高連続使用温度:260℃
PFAの加工方法
PTFEの様に溶融粘度が高くないために、汎用プラスチックと同様な溶融流動成形法が用いられます。PFAの主な成形方法として押出成形法、射出成形法、トランスファー成形法、回転成形法、ブロー成形法、溶融圧縮成形法、コーティング法があります。
PFAは複雑な形状の成形品を、大量に生産する部品に適しています。
また、PFAは溶融時に微量ながら分解物が発生し、金属を腐食しやすい性質があります。そのため、金型には特殊なコーティングがしてあります。
射出成形法はこちら
PFAの用途
半導体工業分野(ウェハバスケット、継手、チューブなど)、ライニング、電線被覆、フィルム、フィルター、バルブ
射出成形品用途例はこちら
PFAの物性表
特 性 | 単 位 | 試験法 | PFA | ||
---|---|---|---|---|---|
融点 |
℃ |
JIS |
対応ISO |
ASTM |
310 |
密度 |
g/㎤ |
K7112 |
1183 |
D792 |
2.12-2.17 |
引張強さ |
MPa |
K7162 |
527 |
D638 |
25-35 |
伸び |
% |
同上 |
300-350 |
||
ロックウェル硬さ |
[Rスケール] |
K7202 |
2039 |
D785 |
R50 |
ショア硬さ |
[Dスケール] |
K7215 |
868 |
D2240 |
D62-66 |
曲げ弾性率 |
GPa |
K7171 |
178 |
D790 |
0.54-0.64 |
引張弾性率 |
GPa |
K7161 |
527 |
D638 |
0.31-0.35 |
動摩擦係数 |
[0.69Mpa,3m/min] |
K6935 |
|
D1894 |
0.2 |
熱伝導率 |
w/m・K |
A1412 |
8302 |
C177 |
0.19 |
最高使用温度 |
℃ |
K7226 |
2578 |
|
260 |
耐アーク性 |
sec |
|
|
D495 |
>300 |
吸水率 |
%[24hr] |
K7209 |
62 |
D570 |
0.01 |
難燃性 |
[3.2mm厚] |
K7140 |
1210 |
UL-94 |
V-0 |
限界酸素指数(L01) |
|
K6935 |
4589 |
D2863 |
>95 |
耐薬品性
酸
アルカリ
有機溶剤
|
|
|
|
D543 |
超優秀
超優秀
超優秀
|
超優秀:ほとんどの薬品、溶剤に過酷な条件下でも侵されない。
優秀;一部の薬品、溶剤には特定の条件下では使用を留意する必要がある。
秀:使用する薬品、溶剤、使用条件を詳細に検討する必要がある。
良:一部の溶剤に溶ける。
出典:日本弗素樹脂工業会 ハンドブック改訂13版